#ITの話
PC用の最強メーラーがthunderbird portableであることは疑いようのない歴史的事実であるわけですが、あえて最強である理由を説明をするならば、軽快な動作、一覧性の高いユーザーインターフェース、柔軟なカスタマイズ性、賢く使いやすい迷惑メールフィルタ、アドオンを用いてのバックアップの容易さとなります。
thunderbird portableに唯一弱点があるとすれば、想定されているUSBメモリに入れての操作では、USBポートへの抜き差しの際にデータが飛ぶリスクがあることです。私も過去にデータが飛んでしまい絶望しました。その際には、POPサーバーにコピーを残していたので、なんとか復旧できましたが、膨大な量のメールを再ダウンロードすることが大変でした。
我々ノマドワーカーはいつもUSBメモリにやられてきたわけですが、今はクラウドストレージがあります。thunderbird portableをクラウドストレージに保管すれば、もう事故は起こりません。ただし、onedriveに保管すると、同期が間に合わず、アカウント情報が喪失するなどのトラブルが頻発しました。thunderbird portableは小さなファイルを大量に扱うのですが、onedriveはそのような通信を苦手とするようです。dropboxならば、細々したファイルもものすごい速さで同期してくれるので、トラブルは起こりません。
もっとも、元々がUSBメモリ上での運用を想定されて開発されているので、複数環境から同時アクセスをすると、競合コピーなるファイルが大量に作成されて、ほぼ同内容だが一部異なるというややこしいフォルダが量産され、整理が面倒な事態に陥ります。しかし、IMAPの普及によって、ゴミが出来てもざっくり削除すれば、IMAPサーバー経由で環境を復旧できるので、大きな問題にはなりません。IMAPサーバーが窮屈になったときこそがthunderbird portableの本領発揮で、容易にローカルフォルダに移動させられて、そのローカルフォルダをサーバー上のメールと同一画面で並列的に扱える優れたUIを備えています。さらに、アドオンを用いて、ローカルフォルダをMBOX形式でエクスポートすることも可能です。別途MBOXビューアを用意すれば、過去のメールがいつでも簡単に読めます。
USBメモリ上での運用を想定して誕生したthunderbird portableですが、クラウドストレージとIMAPの普及によって更に便利になりました。時代遅れの設計思想が外部環境の変化に偶然マッチした結果、最強を超えた最強になったわけであり、もはやこれはガイアの意思であるといっても過言ではないでしょう。もっと布教しろという囁きが聞こえます。