2015年に独立した当初、自動車関連の仕事ばかりしていました。会社員時代の上司が独立して経営する会社の顧問弁護士にしていただいたからです。ただ、会社員時代からの上司部下というのは難しく、こちらは独立して経費がかかるというのに報酬がサラリーマン感覚なので、とても合わないと喧嘩別れしました。
その後、サラリーマン時代から現在までお世話になり続けている不動産業者の仕事を中心に、不動産ばかり扱う時期がありました。不動産は好きなのでかなり勉強し、このまま不動産弁護士として食べていくのかなと当時は思っていました。
独立して5年、ようやく大きな仕事が入ってくるようになったところで新型コロナ禍になりました。売上が数百万円流れ、新件もほとんど入ってこなくなりました。不動産経営が当時の夢だったのですが、そのビジネスモデルが崩壊する様も目の当たりにしました。ただ、周囲が揃って酷い状況だったので反って悲壮感はなく、先輩たちと、皆で遊びに行けるチャンスは今しかないといろいろな遊びを企画しては中止になるという生産性が全く無い時期を過ごしました。先輩たちとワイワイガヤガヤ遊びのことばかり考える時間はとても楽しかったです。
新型コロナ禍が落ち着いて不動産の仕事に復帰すると思いきや、2022年ころからは人材関連と個人情報の仕事ばかり入ってくるようになりました。新型コロナ禍によって人材の流動化が進み、WEB会議や生成AIといった新技術が急速に普及したからです。ただ、弁護士の仕事が増えることはわかるのですが、なぜ私が選んでもらえるのかは謎です。新型コロナ禍でもワイワイガヤガヤ遊んでいた余裕が頼もしく見えたのかも知れません。余力があると不況に耐えられるだけでなく復活も早いのだと思います。年齢的にも、43歳で働き盛りに入ったのでしょう。
2024年ころからはエンタメの仕事が多いです。エンタメの主戦場がインターネットに移ったので、知財法に加えてIT関連の知見が求められるようになったからです。私は元IT企業のサラリーマンなのでプログラムの著作権ばかり扱っていましたし、ITの扱いにも慣れています。これは必然だと思います。
自動車、不動産、人材、個人情報、エンタメ、というのが独立後のマイブームの変遷です。その前のサラリーマン時代はM&Aや組織再編が多く、機関法務がマイブームでした。
マイブームの変遷とは離れて、常になんらかの案件を抱えている分野が労働です。正直、大嫌いな分野なのですが、逃げられません。個人顧客を集客するならば労働案件を断ることもできるでしょうが、顧問先の労働案件を断る権利は顧問弁護士にはありません。私は受験生当時、労働法を労働者側の法律だと捉えていましたが、実際には使用者側の必修科目でした。労働法は司法試験の選択科目において不動の一番人気ですが、皆よく考えていて偉いです。私は、企業ならば知財法でしょ、とイメージで選択科目を選びましたが、実務に出てみると知財法を使う企業の仕事はごく一部でした。だから私もマイブームによって知財法を使ったり使わなかったりします。
自分が5年後にどんな仕事をしているかイメージできないのですが、流れ流され5年後の社会の要請に応えていると思います。私には時代の流れに乗る器用さはないのですが、時代に流されることもスキルだと思っています。