#法律の話
2025年10月22日
これまで数千種類の契約書を見てきたので、私以上に経験値を積んだ契約書添削者はそうそういないはずなのですが、今日は続けざまに未知の添削(オーダー)と2つ出くわしました。
まずは支払いサイトの変更です。
原契約が「請求書を受け取ってから30日以内」、オーダーは「納品日基準で20日締め翌月10日払い」に変更する覚書の作成でした。
納品日基準で20日締め10日払いとしつつ、請求書に記載された金額を支払う、というだけの単純な話なのですが、契約書の文言にしようとすると結構苦戦しました。思い返すとこれまで扱ってきたのは請求書を受け取ってからパターンと、末締めパターンばかりでした。20日締めになかなか対応できず、私の国語力もまだまだだなと反省しました。苦しみぬいた成果を備忘として残しておきます。おそらくもっとスマートな書きぶりがあるのですが、現時点での私はこんなものだよという戒めの意味もあります。
「支払いは毎月20日締め翌月10日払いとし、甲は、当月20日までに納品された商品に係る売買代金については翌月10日までに、当月21日以降に納品された商品に係る売買代金については翌々月10日までに、前項の請求書に記載される売買代金に消費税及び地方消費税相当額を加算し、乙の指定する銀行口座に振込手数料負担の上、振込にて支払うものとする。」
2025年10月23日
「前月21日から当月20日までに納品された」とすれば、少し短縮できましたね。後の祭りですが、もし次があればよりスマートな(短い)修正ができるはずです。私はこういう地味な積み重ねが好きなのです。なお、この条項の前に、請求書を末締めで作成するという条項があり、クライアントの業務フロー上これを残したいので、わけわからん日本語になっています。作成に比べれば添削は楽、という認識でしたが、例外的に作成の方が楽な場面でした。
続いて契約書ひな形の当事者の変更です。
私のクライアントは企業に向けてサービス提供をしているのですが、まるで弁護士事務所のような法人成りしていない寄り合い所帯との契約で、今回は組織のボス(屋号を使える人)ではない人が連名で発注者になるから、屋号での契約書はやめてくれ、というひな形変更のオーダーを受けました。
連名での契約ってどういうこと?というところから民法改正を学び直しました。その結果、受注者としては連名のどちらにも報酬が請求できるし、何かあったら解除も簡単と、有利になることがわかりました。
こちらの修正は簡単で、前文で、「甲1、甲2、以下総称して甲という」、特約で「甲1および甲2は共同して契約上の権利を行使し、連帯して契約上の義務を負う」としました。
15年この世界でご飯を食べていても、日に2回も初めてに遭遇するのですから、飽きやすい私でも続けられるわけだと改めて感じました。心の中の抜刀斎と日々激闘を繰り広げながらも、働きやすいぬるま湯に浸かっているのだと自覚できました。転職(就職)意欲はないのですが、現状でも成長できているという確認作業をこまめに行わないと、私はふらっと放浪を始めてしまうのです。私は学問は他流試合だという恩師の言葉に呪われているのです。働きたくないでござる。