どういうわけか、最近続けて弁護士の老後の話になりました。弁護士からも弁護士以外からも関心が高い分野のようなので、簡単に説明しようと思います。
世の中には、いつまでも稼ぎ続けられると考えて、国民年金すらまともに払わない弁護士もいると聞きますが、私には全く理解できません。そもそも、私は老後の保障を求めて弁護士になりました。私はサラリーマンでしたが、司法試験合格が遅かったため、定年まで勤め上げても豊かな老後とは程遠い年金しか受給できない見込みだったのです。
厚生年金は悪魔の制度です。厚生年金のメリットは、扶養を外れない配偶者が第3号被保険者になれることと遺族年金です。しかし、共働きが当たり前の現代ではメリットは失われました。厚生年金のデメリットは2つあります。1つは天井が低く高給取りになってももらえる年金には限度があることです。かつては、いわゆる三階建て部分に当たる厚生年金基金が幅を利かせており、大企業で勤め上げればとんでもない年金がもらえましたが、この制度は風船の灯火です。もう1つのデメリットは、事業主負担が重いということです。私はサラリーマン時代は管理部門、今は経営者ですから、事業主負担がなければ給与は増えるはずだと考えてしまいます。
老後に必要になるのは年金と退職金です。弁護士は何も備えなければ国民年金だけで、退職金もありません。しかし、厚生年金の負担もありません。私は、自分がサラリーマンを続けているつもりで、自分と同等の稼ぎならば事業主負担も合わせて厚生年金と社会保険をどれだけ負担することになるかを計算し、その金額を使い切って、国民年金、弁護士国保、国民年金基金、iDeCo、小規模企業共済、互助年金に加入しています。東京近郊の弁護士に限りますが、弁護士国保は所得に関わらず保険料が一定という夢のような健康保険です。互助年金ば84歳になるまで育てられる15年保証付終身年金保険で、若いうちに一時金払いして限界まで寝かせれば結構な受給額に育ちます。少なくとも70歳までは問題なく働けるだろうことが弁護士の魅力です。年金受給は遅らせれば遅らせるほど受給額が増えますし、共済も積立を続ければ続けるほど支給が多くなります。互助年金もすくすく育ちます。弁護士国保と互助年金を用意してくれた先輩たちには感謝でいっぱいです。
イメージだけでサラリーマンになれば厚生年金で老後が保証されると考える若手弁護士が多いようですが、そんなことは決してありません。私は元サラリーマンですからそれを知っています。弁護士は、事業主目線で厚生年金の事業主負担も払っているつもりになって老後に備えれば豊かな老後を実現できます。私は老後の保障を求めて弁護士(個人事業主)になった元サラリーマンです。