2025年12月9日
2025年12月1日現在、私が所属する東京弁護士会の人数は9,434人です。東京三会の合計は23,586人、弁護士の総数が46939人ですから、東京だけで過半となります。
そのように考えると、東京で弁護士をしていることは普通のことで、えらくもなんともありません。
しかし、私にとっては、東京で弁護士をすることはとても大変なのだと実感しました。今回はそんなお話です。
最近、所有している事務所を事務所として利用していません。
独立当初は、加除式のとても持ち運べない重さの書籍を事務所で読み漁るなど、執務スペースとしての意味がありました。
また、当初から一見様お断りでやっとりますので頻度は少ないものの、相談室も相談室として機能していました。
時代と業態が変わり、情報はほぼすべてがデジタル化され、事務所の書庫機能は不要になりました。そして、事務所で行っているデスクワークと同じことが自宅でも行えます。実際に、新幹線の中や別荘でも普通に、いつも通りに働いています。
私の業態では、企業に往訪したり、往訪先のWEB会議ブースを占拠して別企業の会議に出たりしているので、相談室を依頼者との打ち合わせに利用することもなくなり、相談室はゴミ置き場と化しました。
それでも、私の事務所は徒歩10分圏内で8路線を利用できる立地にあるので、現在は、取引先に往訪する拠点としてのみ機能しており、平日はほぼ毎日事務所で寝泊まりしています。風呂も洗濯機もついている住居兼事務所物件で、オートロックの上、監視カメラがばっちり目立つところに設置されており、セキュリティも万全です。
もっとも、約40平米と、家族(いないけど)で暮らすには狭すぎます。そのため、住民票上の住所は千葉県津田沼の自宅になっており、週末は帰ったり帰らなかったりしています。
老後に第一線を退いた後、私は事務所を賃貸に出す予定です。固定資産税や都市計画税、管理費、修繕積立金を差し引いて、空室リスクを織り込んでも、優に月6桁円が手元に残ります。年金にプラスしたお小遣いだと思えば、頻繁に子供(いないけど)と孫(妄想だけど)を旅行に連れて行くことすら可能です。逆に、第一線を退いた後も事務所を自己使用するならば、毎月痛い固定支出が発生し、年金生活では苦しくなります。
そんなわけで、第一線を退いた後は自宅登録をする予定です。
ここで問題が生じます。津田沼で自宅登録すると、千葉県弁護士会に登録することになるのです。コミュ力の低さに定評がある柿沼さんには、老後から千葉弁に馴染める自信がありませんし、東弁のお友達と遊ぶ機会が減ったら寂しさで死んでしまいます。現在の交友関係の7割が東弁、2割が取引先、1割が親戚や友人というくらい私は付き合いが狭いのです。私がなんとか生きていられるのは、リアルガチに東弁の仲間たちのおかげです。でなければ多重会務者に甘んじることはしません。
そんなわけで東京に家を買おうと思ったら、買えません。東京はもうだめです。堅気が買える価格帯じゃありません。
つい最近も、私の事務所近くの新築マンションが事務所利用可だから買いませんか、56平米で1億5千万円です、というチラシが事務所ポストに投げ込まれていましたが、ムリムリムリムリかたつむり。逆立ちして別荘と現事務所を手放せばローンを組めなくもありませんが、そこまでして56平米とは寂しすぎます。私の自宅は200平米、別荘は70平米、事務所は40平米です。来客を想定しない自宅兼事務所であっても、生活空間70平米に執務スペース15平米、最低85平米は欲しい。東京だと2億円コースですね。
先輩方は都内に小ぶりなビルを建てていますが、おそらく昔は2億円でも小ぶりなビルが建てられたのではないでしょうか。お金の面では羨ましい時代です。今の方がデジタル化されて便利なので、一概にもっと早く生まれたかったとも思えませんが。
事務所を組織化したボス弁ならば、引退後も顧問などの名目で事務所に籍を残せます。しかし、私のような一人事務所にはそれができません。第一線を退いたら事務所を弁護士に貸して、私も大家特権で籍を置かせてもらう、という選択肢もあるにはありますが、店子に嫌な思いをさせたくないので、それはしたくありません。大先輩方はどうされているのだろうと思ったら、今日は、秋に叙勲を受けたばかりの大先輩がいつの間にか埼玉に登録替えをされていたので式典のお祝いコーナーをどうしよう、という話題になりました。やっぱり最後は自宅登録なんだね。
そんなことを考えていたら気分が滅入ってきたので、前向きに理想の家を考えました。そして、ゴルフの室内練習ができる天井の高さで深夜にもカラオケができる防音室があれば楽しいなと思いました。そんな夢のような話も津田沼の自宅を建て替えれば無理なく実現できることに気づいてしまい、なんか色々と思考が袋小路に入り込んでいます。軽自動車に乗りたいだの自宅にゴルフ練習室を作ろうだの働きたくないでござるだの、まあ字面だけは恵まれた人生だこと。そんな私のハリボテの人生全てが、独身はお金に余裕あって羨ましいっすね、という一言で粉々にされてしまうので、子供が留学したがっていて学費が、などと話している友人が羨ましくて仕方ありません。何を考えていても最後は必ず同じ結論になります。生きていることが本当に辛い。