#趣味の話
おじさん、今年はお盆休み無しで働いているのですが、キッズたちの夏休みに合わせてDMMブックスがセールをしていたので、参戦して漫画を買い漁りました。1万円以上で15%とか25%OFFのクーポンが4回配られ、4回とも1万円ぴったりぐらい買ったので、合計4万円(割引されるので実際には3万円強)の大人買いです。キッズたちよ、これが大人の力だ。おじさん休まなかったので予算は潤沢なんだ。
4万円分購入した漫画の中で一番気に入ったのは住吉九先生の「ハイパーインフレーション」でした。
同作者が現在連載中の「サンキューピッチ」がインターネット上で評判になっており、読んでみたら意外に本格野球漫画で面白いので、同作の購入は決めていました。「ハイパーインフレーション」は1巻がまるごとネット立ち読み可能だったので読んでみたのですが、鬱展開の香りに危険を感じ、購入を迷っていました。しかし、全6巻と手頃な長さだったので、「サンキューピッチ」のおまけのつもりで購入しました。
期待度が低かった「ハイパーインフレーション」ですが、登場人物が固定されているのに敵味方が目まぐるしく入れ替わる怪作でした。主人公が特殊能力に目覚めるのですが、普通に考えると雑魚すぎる能力なのに、知恵を巡らせて仲間たちの協力を得ながら最強の能力に仕立てる展開が熱いです。しかも、展開が全く予測できないのに、納得感も清涼感も満足感もたっぷりな終わり方にまとめられており、とても楽しめました。気持ちよく読み終われるとわかっているので、今後も内容を忘れた頃に何度も読み直すと思います。
私は、笑わせたり笑われたりするのがプロで、笑うのが客、という主義なので、決め台詞のようにギャグを言ってはドヤ顔して流れを止めるお笑いが大嫌いです。お笑い芸人はプロなので、嫌な気分になることはほとんどありません。問題は俺おもろいやろオーラを垂れ流している個性派俳優たちで、ドラマを見ていると、もったいぶってギャグを言っては、ドヤァ!と流れを止めるので、お前テンポ悪くなるから出てくるなよ、と憤慨するばかりです。ボケが真剣に馬鹿なことをしている、ツッコミが巧みな表現力で笑いを取る、そのツッコミが完全スルーされて話が動き続ける、私はそういう作品が好きなのだと「ハイパーインフレーション」を見ていて自覚できました。
「ヒナまつり」の大武政夫先生の「女子高生除霊師アカネ!」も買いました。この作者の作品はハズレがないので全部揃えています。大武作品に共通するのは登場人物が互いに間合いを取り合っているところとツッコミの鋭さです。私の趣味にグサリと刺さるシュール系ギャグ漫画家なのですが、無骨な作風で名高い猿渡哲也先生のアシスタント出身だそうで、良くも悪くも真逆の作風に驚きます。
完結したばかりの「その着せ替え人形は恋をする」も旬なので大人買いしました。恋愛漫画に興味はないのですが、恋敵などの面倒な展開がなく、主人公とヒロインは終始相思相愛でイライラしなくて済むという予備知識があってこその購入でした。ヒロイン属性の主人公が、ヒーロー属性極まったヒロインや仲間たちに囲まれながら、ささいな、それでも説得力のある過去の事件から失っていた自己肯定感を取り戻していくという社会復帰物語で、嫌な奴が一人も出てこないので楽に読めました。また、すれ違いがあっても本音で話して解決するので、理想的なカップルだなと思いました。「オーイとんぼ」と同じで、嫌な奴など出さなくとも、うじうじと悩みを引きずらずとも、ストーリーは展開できるのです。
最近の私は気楽に読める漫画が好きなのですが、その真逆で面白いのが「乙女ゲームのヒロインで最強サバイバル」です。全く存在を知らなかったのですが、売上ランキング上位にあったので、ネットで立ち読みしたところ、面白かったので購入しました。ゲーム世界転生モノの変化球で、ゲームの中のヒロインが、異世界転生してきたゲーマーに体を乗っ取られかかったところを撃退し、その際に自分や周囲が不幸なのはゲームの展開上必要だからだという断片的な知識を得たことで、覚悟ガンギマリ少女になって世界に抗うというものです。戦うヒロイン設定ではないので戦う才能はないのにゲーマー由来のレベリング知識で強くなり、戦闘能力で劣りながらも生き残りながら殺すことに特化したエグい戦い方でヤベーやつに仕上がっていくという展開が斬新です。強いやつが敵になりそう、油断しているうちに仕留めないと、正面からぶつかれば勝ち目はない、仕掛けをするための時間稼ぎをしないと、という戦い方はまさにサバイバルで、ゴルゴ系のベクトルで最強です。火の玉ストレートも好きですが、老獪な投球術も好きなので、私は好みです。この作品が売上ランキング上位にあるということは、皆、私と似たような趣味なのだと感じました。
「俺は星間国家の悪徳領主!」も買いました。これは最近の私のトレンドに沿ったなんら頭を使わない作品です。俺TUEE系ですが、主人公には英雄としか言いようのない決断力が備わっているので、読んでいて気持ち良いですし、作中世界で名君英雄と評価される理由がよくわかります。悪魔に陥れられて不幸な人生を歩んだ主人公が、正体を偽った悪魔による次は幸せになるための転生だという虚偽の説明を信じて転生した結果、自分は幸せになることが約束されているのだから何をやってもうまくいくと確信して、英雄ならではの決断力を発揮するという設定だけで勝利しています。主人公を陥れようとする悪魔の策略を、逆境は糧であるという確信に基づいて尽く打ち破り、逆境をはねのけたことで得られた名声や財産を悪魔のおかげだと感謝するというお約束の展開が続き、その度にダメージを受ける悪魔がマスコットキャラクターになっています。主人公が強いだけでなく、主人公の英雄性に惹かれた臣下たちが存分に力を発揮しており、ワンマンではないところも楽しいです。設定で成功すればテンプレートで回していける好例です。
「東京決闘環状戦」も買いました。主人公が主人公属性過ぎて全く魅力がないという致命的な欠点を抱えつつも、周囲の変態集団が次々となんか良いことを言い出すので、うっかり感動してしまいます。格闘漫画の皮を被った感動系ギャグ漫画です。
他は揃えている漫画の新刊を予約したりでした。
電子書籍はじっくり立ち読みしてから買えるのでハズレ率が低くて良いですね。何よりも蔵書が増えても部屋を圧迫しないことが良いです。