#健康の話
キン肉マンの連載開始は1979年で、私の人間デビューと同じ年です。
民事では人を行為の主体として考えるので、胎内から全部露出した段階で人間デビューを果たします。刑事では人を犯罪の客体として考えるので、胎内から一部でも露出したら人間デビューです。
私が29歳の時、キン肉マンはニク周年を迎え、記憶が確かならば10万円の、DVDボックスが発売されました。
当時の私は法科大学院に入院中の司法浪人でした。世間の同い年はお金を稼いでおり、ニートであっても学費はかからないというのに、私はお金を払って勉強しています。社会の底辺のさらに下の地底人でした。
地底人ではあっても、親から過分な仕送りをもらっていたので、キン肉マンDVDボックスを買うことは可能でした。しかし、当時の私は、今の自分はそんな身分ではないと我慢しました。今の私ならノーウェイトでポチリます。悔しさをバネにいつか飛躍しようと物欲を抑え込んだ当時の私はすごいやつです。将来きっと大成します。どうしてこうなった。
キン肉マンではウォーズマンが好きです。シンプルなのに格好良く、あらゆるジャンルの中でのベストデザインの一つだと思います。
45歳のあるとき、ドラゴンクエスト3のリメイク版の評判が良かったので購入し、土日をずっと、ビーズクッションに包まれながら、おなかの上に置いたノートPCで遊んでいました。いわゆるラッコスタイルです。
その週の水曜日に異変が訪れました。腰が痛くして仕方がないのです。土日の痛みが月曜でも火曜でもなく水曜に出てくるのが老人のつらいところです。その痛みは慢性化し、首や肩まで痛くなりました。コルセットを購入したりいろいろ対策しましたが、治りません。
46歳になって、その話を先輩弁護士にしたら、筋肉だよ、筋肉はすべてを解決する、と言われました。だめだこいつ脳が筋肉に支配されていやがる、と思ったのですが、まじめな話だと言われました。
その先輩は39歳のときに私と全く同じ症状になり、病院に通ったものの治らなかったそうです。あるとき、医師と知り合ってその話をしたら、病院で渡されるのは痛み止めなのだから改善するはずがない、痛みの原因は筋力の衰えなのだから、体幹を鍛えるしかないと言われたそうです。その言葉を信じて体を鍛え始めたら、見事腰痛は治ったとのことでした。
なるほど、私は理屈を理解したら本気を出すタイプなので、その先輩にどんな筋トレグッズが良いか相談し、アブローラーを購入しました。
アブローラーを使い始めたら、1週間程度で、腰の痛みは緩和され、肩と首の痛みはほぼなくなりました。驚くべき成果です。筋力が戻ったというよりも、体が筋肉を使うことを思い出し姿勢がよくなったのだと思います。姿勢を維持しやすくするために、さらなる筋力強化に励もうと心に誓いました。
腰を痛める少し前に、キン肉マンの新テレビシリーズを見るためにNETFLIXに加入しました。一気見するタイプなのでキン肉マンは後回しにして、筋肉映画として名高いシティハンター実写版を見ていたのですが、気づいたら北斗の拳究極版の電子書籍を買っていました。筋肉に導かれているようですが、劇中で確かに神の声が聞こえたのです。
今の私は老いて心のバネを失いジャンプできなくなった週刊少年ジャンプ世代のおじさんですが、まさか進んで筋肉に支配される道を選ぶとは思いませんでした。キン肉マンDVDボックスを我慢したのは筋肉を鍛えるためではないのですが、本当にどうしてこうなった。