2026年4月4日
最近、2015年10月23日に独立してから10年以上経つんだよな、と感慨深くなっており、なんとなく独立後の所得推移を見ていました。すると、当事務所の業態の変遷が見えてきて、面白かったので整理します。
【事務所設立】
1年目(2016。2015(10/23~12/31)は見た目上大赤字で申告義務なし)から大口顧問先(サラリーマン時代の上司が先に独立した会社。自動車関連のグループ)があって好調な出だしとなる。
【三年寝太郎】
2年目(2017)早々に顧問先とケンカ別れして、2,3,4年目は超低空飛行に陥る(2年目はギリギリ赤字は回避するも住民税非課税)。この間は貯金(運転資金)を取り崩して生活するが、営業活動はせずに、不動産の資格を取ったり、労働の本を書いたりしていた。暇なので、たまにきた案件には採算度外視で取り組んだ。熟練度上げをしている気分だった。それでも売上は少しずつ伸びて、貯金の取り崩しは少なくなっていった。貯金は減っているのだが、あと●か月で枯渇する、という数字が伸びていくので、意外と気が楽だった。段々健康になっていくイメージだった。
【新型コロナ禍で業態変更を志す】
5年目(2020)に入るあたりから不動産を中心に売上が急上昇の気配を見せる。しかし、新型コロナ禍の直撃を受けて、仕掛中の仕事が次々吹っ飛び、新件も全く入らなくなってしまった。所得はなんとか生活費を捻出できる程度にとどまり、6年目(2021)も同水準で推移する。それでも貯金の持ち出しは発生しなくなっていたこと、周囲の弁護士は自分よりも深刻な売上低下となっていることから心は軽く、どうせコロナが明ければ儲かると楽観しており、弁護士会の先輩たちと、皆がそろって暇なのは今しかないと盛り上がる。当時の夢だった不動産経営が破綻する様を間近で見て、不動産弁護士としてのやる気を失う。この時期に知り合った友人が、サラリーマンから弁護士に転職する際の過渡的措置として半分サラリーマン・半分弁護士をしていると知り衝撃を受ける。
【漸次的業態移行】
6,7,8,9年目は、会社日替わりサラリーマンを目指して、既存クライアントに不義理がないようにゆっくりと業態を変化させていく。単発案件の受注を控えて、その売上低下を企業からの継続案件の増加で補うようにして、アフターコロナの景気回復を利用しながら、無事にトータルでは売上微増を果たす(もっとも、コロナで売上が吹っ飛ばなかった想定には未だ及ばない)。結果的に、コロナに押しつぶされアフターコロナで転生した。
【10年目にやらかしましてね】
節目の10年目(2025)に、年齢的にお大尽が求められるようになり、経費が爆上がりする。課税所得は6年目(コロナ禍)水準まで急降下。もっとも、6年目と異なり所得控除の枠を使い切っているので将来への備えは進捗した。なお、物価高の影響は受けておらず、むしろ、ジャパニーズウイスキーを中心に、夜のお酒は安くなったと感じている。
行き当たりばったりなのか計画性があるのかわかりませんが、常になにか企んでいる10年間でした。とても大切なことなので何度でもお伝えしますが、弁護士稼業はベリーイージーだから、座して仕事を待っていても(スキルアップを怠らなければ)いつか食えるようになるんだよ!
これって本当に重要なことで、スキルもないのに広告集客して手の抜き方を覚えた弁護士は遠からず破滅します。
私も弁護士会の中でそこそこ責任がある立場ですから、弁護士の不祥事対策に頭を悩ませています。弁護士会役員経験者たちとの会食の中で、弁護士同士の阿吽の呼吸が通用しなくなってきているという話になりました。多様性とか、そんな綺麗な話ではありません。私も、労働案件で、相手方の若手に、相場よりもずっと安い解決金で即決してもらったことがあります。弁護士稼業では成果が大きくなるにつれて報酬の料率は逓減していくので、10倍の労力をかけて解決金を3倍に釣り上げても、実入は10倍にならないどころか3倍にもなりません。だったら安い解決金で即決することがタイパが良い。その場で出た具体例は、どれもこれと似たようなものばかりでした。
依頼者から感謝される仕事をしろとか、綺麗事を言うつもりはありません。しかし、タイパばかりを考えて依頼者をおろそかにすれば、依頼者から感謝されないだけでなく、知恵を絞り出す癖も身につきません。転職しようにも「ああ、あそこ出身か、変な癖がついちゃった子はちょっと」これは本当に言われていることです。
タイパなんぞ無視して数少ない仕事にこれでもかと熱量を詰め込む方が、若き日の過ごし方として健全です。古き良き時代は良き時代なのですから復古させたいと常々考えています。そんな思いもあって、私は食べられなかった時代の過ごし方を公開しています。
あっちいったりこっちいったりの10年ですが、それでも、なにか企んで、牙を研ぎ続けた10年間でした。これからも牙を研ぎ続けます。