#教育の話
2025年8月22日
もうバレてきたので隠すことをやめますが、私にはライフワークとしている事業があります。
これです。法務部員を育てる事業です。
主催企業の思惑は、法務部員の人材紹介です。
私の思惑は、法務部員の楽しさの啓蒙です。
ほとんど私の持ち込み企画であり、主催企業と利害の一致を見て、お手伝いいただいているというのが真相です。
私は現在フリーランスの法務部員のような働き方をしています。私は、勤務弁護士、国会議員秘書、会社員、経営者弁護士を経験しましたが、ダントツで楽しかったのは会社員です。しかし、自主的な上場廃止という、自分ではコントロールできないイベントによって、退職しました。だから自分の人生の下駄を他人に預けたくないと思って独立しました。
独立後、普通の弁護士として生きていましたが、たまに新規事業の話が来るととても楽しく、やはり会社員が向いていると思い始め、それでもせっかく私を経済的に支えてくれる顧問先もあるので会社員には戻れず、思い悩んでいました。贅沢な悩みだと自覚していますが、それでも悩みは悩みです。
そんなときに、友人が、半分法務部員、半分弁護士をしていると話していました。法務部員から弁護士に転職しようとしたら前職に遺留された結果だということでした。経緯はともかく、私は、そんな働き方があるのかと食いついて、時間をかけて、なんちゃって法務部員として私と契約してくれるクライアントを探し出しました。なんちゃって法務部員としての実績を重ねると、段々と次のクライアントを見つけやすくなります。そして現在のフリーランスの法務部員という働き方を実現しました。
私にとって法務部員はとても楽しい仕事です。それを広めたいというのも、このサイトを開設した目的の一つです。
私は弁護士になりたいと思ったことはないのですが、受験生時代も今も、周囲は弁護士になりたかった人ばかりです。そして、弁護士になれなかった人、弁護士にはなれたものの食べられなくなってしまった人をたくさん見てきました。
世間では、司法試験に落ちてしまったらせっかく学んだ法律を活かすために法務部員になれば良い、弁護士として食べられないなら法務部員になれば良い、とよく言われます。これは現実を知らない話です。
法務部員になれるのは、若くて法律に詳しいか、法律に詳しくて組織に順応できるか、どちらかの人材だけです。
司法試験に落ちてしまった人は、合格するまで受験し続ける覚悟で戦ううちに、若さを失ってしまいます。若さを失うまで戦い抜いてしまうと、組織への順応も期待できません。
弁護士は、若い頃はボス弁が食べさせてくれます。食べられなくなるのは、自力集客が求められる中堅以降になってからです。やはり若さを失っており、組織への順応も期待できません。
そんな残酷な現実を見てきました。
もう若くない私がフリーランスの法務部員を気取れるのは、若き日に組織の中で馬車馬のように働いた経験と実績と能力があり、複数の企業からフルコミットを求めてもらえるからです。
法務部員って楽しいよ。司法試験に受かろうが落ちようが、弁護士だけでなく法務部員も学んだ法律を活かせるよ。だから早くこっちにおいでよ。
それが私にとっての事業の目的です。
楽しいことを啓蒙しつつ、夢破れた仲間たちの悲劇を繰り返させないためのセーフティネットにもなります。
弁護士をしていると、自然と社会正義を実現したくなります。社会正義の形は色々とありますが、私にとっては法曹養成と法務部員育成が、なしたい社会正義です。
私一人の力では限界がありますが、本当に幸いなことに、私がなしたい社会正義に賛同していただける企業と巡り会えました。ならば幸運を活かすべく全力を注ぐだけです。私の夢に付き合わせてしまった主催企業に、金銭的にお返しがしたいという責任感もあります。2015年10月に独立して約10年、会社員時代以来のワクワクする日々を過ごしています。