2026年1月14日
以前、弁護士の友人が「弁護士になってから一日も休んだことがない」とぼやいていました。
すわっ!そんなに忙しいの?と驚いたのですが、よくよく聞いたら、「土日だろうが旅行中だろうが日に1回はメールをチェックするし、緊急対応のスタンバイはしている」とのことでした。
…私も一日も休んだことないよ。メールチェックはもちろん、待機名簿を年末にあてがわれたり、旅行中に空港から取引先の社長と電話したり、結果的に稼働しない土日の方が多いけど、完全に仕事を離れるなんて怖くてできないよ。
ただ、それって弁護士だけなのかな、とも思いました。
企業でも、ある従業員しか事情を知らないトラブルが発生したときに、その従業員が有給を取っていたとします。会社は必死になって連絡を取ろうとするはずです。それがパワハラだと騒がれる時代ではありますが、会社の被害が拡大しないことはその従業員にとってもプラスになるので、連絡を取る合理的な理由があります。もっとも、情報を共有できるシステムを構築しておくべきだとは思います。
私のサラリーマン時代の勤務先は先進的なIT企業だったので、社内システムでほとんどの情報が共有されていました。そのうえで、パワハラ防止のために、メールは特定の端末からしか見られないようになっていました。
しかし、私は、システムで共有してはならない情報(守秘義務まみれの交渉案件)を多数抱えるようになったため、私だけ特別に私用スマホからもメールが見られるように設定されました。営業ではないので社用携帯は渡されていないのに、私の携帯番号は必要な人員には周知されていました。出世したということです。
社会的に見た時に、弁護士という時点で、既に出世した状態なのだと思います。社会から必要とされることを光栄に思えば、休みがないことも光栄だと思えるはずです。働きたくないでござる。
私のある日のスケジュールを見てみましょう。
7時30分~8時:起床、8時からの委員会に備えて弁護士会からの意見照会を確認
回答書案は私が作成するので必死
8時~9時30分:若手の会委員会
若手界の長老であり委員長なので欠席できるはずもなく
9時30分から10時20分:遅い朝食と身支度
10時20分から11時:移動
11時~15時:取引先往訪
11時30分~12時と14時~15時に私の往訪に合わせたMTGが設定されているのでサボれるはずもなく
15時~17時:弁護士会委員会に往訪中取引先からWEB参加
PT座長なので欠席できるはずもなく
17時~18時:取引先で内職
特に相談がなかったので別の取引先からの緊急相談に応答
18時~18時30分:移動
18時30分~20時:会派の執行部会
事務次長でありながら本日10時から13時のMTGを欠席しているのでサボれるはずもなく
20時~:懇親会
お疲れ様でしたが心は休んでも体は休めません
就労時間:5時間<会務拘束時間:5時間30分
ごらんの有り様だよ!お昼ご飯を食べる時間なんてないよ!
いつも話している「週30時間しか働かないで週20時間近く会務に拘束されている」ってのは本当のことなんだよ!ここに懇親会と休日の旅行が加わるから休む時間なんてないんだよ!
ワーク・ライフ・バランスと言いますが、ワーク・会務・遊び・休みバランスで考えると、
ワーク:極端に少ない(週30時間程度)
会務:ワークの不足を補うように多い(週10~20時間)
遊び:かなり多い(酒と旅行とゴルフ練習)(週20~30時間)
休み:ほとんどない
ということになっています。月80~160時間残業相当の忙しさです。心も体もボロボロです。バランスが悪い!
会務を減らさなきゃ(使命感)
遊びよりもワークが多くて安心していることは秘密です。
2026年1月20日追記
週末に幼馴染と久しぶりに飲んでいて、どんな仕事をしている、という話をしました。
弁護士会務も、巡り巡って、弁護士業務の役に立つこともあると思います。取引先から、また弁護士会ですか?と呆れられつつも、どういう役職だから行かんわけにはいかんのよ、と答えると、どこか大物弁護士的な扱いを受けているような気がしないでもない。
酒や研修旅行で同業者と懇親を深めることは間違いなく仕事につながります。色々な人から一人事務所で不安はないのかと聞かれますが、日頃から同業者と懇親を深めているおかげで、受けられない仕事をお願いできる友達もいるし、処理方針に困った際にも相談相手に事欠きません。
つまり、ワークは仕事、会務も仕事に関係があるような気がしないでもない、遊びにも確たる仕事要素がある、ということなので、私は月100時間残業分くらい働いているんだよ!なっ、なんだってェー!!
そう考えるとタイムフィーが酷すぎて死にたい。酒飲みながら自分のタイムフィーの低さを嘆くアラフィフのおっさんが結婚できるはずがないと思いました。
会務を減らしても売上は減らない、むしろ会務を減らせば売上を伸ばす余力が生じる、という現実から目を背けてはいけないとも思いました。
2026年3月10日
2026年と2027年も会派の執行部をすることになりました。
私は●●会系2次団体▲▲会(東京弁護士会系の3次団体とも言えます)に所属しており、●●会内には若手(といっても15年目まで)のみで構成される■■会が存在しています。
私は2010年弁護士登録ですが、2015年に東弁登録、2017年から▲▲会に入会した新参者です。にもかかわらず、2019年の▲▲会百周年記念事業の会計となり、2018年から2019年はそっちで大忙しでした。なぜ入会ほやほやの私に高額な事業資金の管理を任せるんですかね。▲▲会のガバナンスはどうなっているのか。
▲▲会に入会すると、自動的に●●会にも■■会にも名前を連ねます。ただ、私は、若手の会というと精々5年目くらいまでのイメージなので、■■会には全く参加していません。
3つの会には、それぞれ、1年任期の執行部があります。執行部は、会の企画の運営を行います。私の執行部就任歴は、2020年●●会、2021年お休み、2022年■■会、2023年▲▲会、2024年▲▲会事務局長、2025年●●会事務次長とほぼ休み無しです。
2022年に■■会の執行部をしているのは、あまりにも■■会に顔を出さないので、当時の代表が、何事も一度は経験しておけと入れてくれました。おかげで、私は■■会朝会のヌシとなり、卒業年となる今年は■■会会務政策委員長として、意見照会の回答書を何通も書くことになりました。
2024年2025年は役職がついていますが、会派の役職の適齢期はこんな感じ。
今年で■■会は卒業しますし、▲▲会では事務局長の、●●会では事務次長のお勤めを終えたので、2026年からしばらくお休みだぜ、と思っていました。
ところが、ホームグラウンドである▲▲会の研究部代表幹事が降ってきました。
(NEW)2026年▲▲会研究部代表幹事(後半)、(NEW)2027年▲▲会研究部代表幹事(前半)
毎年8月の合宿で研究発表をするので、2026年8月までは前任者が、その後、2027年8月までが私の任期です。ただ、8月からスタートする必要もないので、1月から1月とか任期がずれるかも知れませんが、いずれにせよ、2026年の執行部にも参加します。司法修習時期が変更になったので、100年以上の歴史を誇る▲▲会研究部も手探りで運営しています。
私が▲▲会への帰属意識が強いのは、2017年に参加してから、2018年、2019年と、3年連続で研究部に参加して、合宿でも発表していたからです。そのため、研究部代表幹事をやりたかったのですが、なぜか事務局長をすることになりました。どちらも忙しいので、多くの場合、どちらか片方しかやりません。例外が何人かいますが、同期の層が薄いなどの事情がある先輩ばかりで、私の同期は充実していますから、私は研究部代表幹事にはならないものだと諦めていました。
やりたい役職はやらせてもらえない、やりたくない役職はやらされる、とグレていたら、やりたくない役職をしたご褒美にやりたい役職もやらせてあげよう、ということになり、そういうことじゃないんだよな、と思いつつも、数年前に抱いていた、研究部代表幹事をやりたかった気持ちを思い起こしているところです。▲▲会の本丸は研究部ですので、1年間のブートキャンプで、若手を会派の精鋭兵に鍛え上げます!
会務を減らす道のりは遠いです。
2026年3月14日
今日は弁護士会の人事委員会でした。私は俗物なので、自治体からの仕事に推薦されていく弁護士を見ながら、こんな薄給でご苦労さまです、と思っていました。しかし、日々色々な名簿を眺めていると、委員会などの会務を自己ブランディングに利用している弁護士が多いことに気づきました。そうか。私がこの仕事は職務経歴書的なもので目立つぞ、と考えて、採算度外視で楽しそうな仕事を受けていることと同じ感覚なのだなと思いました。
私は流れ流され生きているだけなので、そんなことは何も考えずに、降ってくる役職を捌くだけで手一杯です。人事委員会は誰がどう見ても重要な役職なので、周囲は役員経験者ばかりです。なぜ場違いな私が紛れ込んでいるのかと言うと、キラキラの役員候補だった先輩から、いよいよ役員になるので兼務できなくなったから後よろしく、とパスを受けたからです。しゃあない、先輩の顔に泥塗るわけにはいかんと頑張っていますが、場違い感がすごくて正直しんどいです。
みんな色々考えて委員会とか選んでるんだなと反省しながら自分が置かれている状況を整理してみたら、会務と仕事がリンクしてきていることに気づきました。
私の元々の関心分野は法曹養成で、その中でも、不合格者に対するセーフティネットを用意したいと考えてきました。せっかく頑張って勉強してきたのに、ただ司法試験に合格できなかっただけで法律を手放すのはあまりにももったいない。
そんな思いから法曹養成センターで副委員長をしていましたが、会派から降ってきた仕事で手が回らなくなり、辞めてしまいました。不合格者に対して弁護士会ができることに限界を感じたことも理由です。
そんな経緯から、企業の力を借りて法務部員育成事業をライフワークにしています。かつては法律事務所の事務職員をしながら司法試験合格を目指した者が多かったように、法務部員の仕事の一部を受注しながら合格を目指す受験生が登場することが私の理想です。その経験は合格後も役立ちますし、試験が残念な結果となってしまっても就職の足がかりになります。それを実現するために、弁護士資格がなくても受注できる業務の範囲、弁護士法第72条の射程を探っています。
弁護士法第72条周りでは、近年は、AI契約書添削サービスがホットトピックです。私が仕事でAI契約書添削を使う分にはなんでもありです。出力への責任主体はAIサービス提供事業者ではなく私だからです。しかし、企業に対して、AI契約書添削が、断定的な法的判断を提供したら、AIサービス提供事業者による弁護士の独占業務の提供、つまり非弁行為になります。だから出力して良い範囲についての議論がなされています。
2026年度から、●●会で、AIについて勉強して弁護士に対して情報提供をするプロジェクトチームのメンバーになります。2025年度の●●会幹事長は日弁連でAI戦略ワーキンググループを立ち上げた方で、会派でもAIを掘り下げることになり、同年●●会事務次長の私が担当になったことがきっかけです。
この他、2025年度は■■会の会務政策委員長として、日弁連がAIに関するガイドラインを制定する際の意見照会にも回答していました。
ありがたいことに、現在のプロジェクトチームの関心分野もAIと弁護士法第72条の関係です。皆がAIを脅威と感じる文脈で語っている中で、私一人、業務に役立てるために議論に参加できるので、とても恵まれていると思います。
AIは私の直近のトレンドですが、トレンドを離れて、常に仕事の中で大きなウェイトを占め続けているのが労働です。思えば、2017年から2019年まで3年間、▲▲会研究部で取り上げ続けたのも労働でした。私が本を書く人になったきっかけの3年間です。
▲▲会研究部代表幹事として、個人的な原点に立ち戻り、労働分野を扱うことにしました。2027年8月の合宿での発表と、2028年2月の日弁連会長選での書籍販売を目標に、研鑽を重ねます。私の役割は若手のメンターですが、むしろ私のスキルアップのために若手を利用するつもりでいます。若手にとっても、労働はけっこうやっている私の業務に役立つレベルのアウトプットを強いられることがスキルアップの近道だと信じているからです。パワーレベリングの精神です。
今は見る影もありませんが、新型コロナ禍前は、当事務所の主力分野は不動産でした。その際に得た知見を活かして、不動産を中心とした相続対策を事業に昇華できれば、新たな収入源になります。そんな野心を抱きながら、弁護士会では、遺言相続法律支援プロジェクトチームの座長をしています。本も書きましたし、毎年不動産鑑定士協会と相談会を共催しており、先日は相続専門の税理士法人の代表を招いて勉強会を行いました。こちらも着々と、です。
AI、労働、不動産・相続という3分野で、仕事と会務がリンクしてきました。会務なんて仲間と楽しく酒飲むための口実作りで頑張るだけ、と思ってきましたが、意外と仕事に利用できるんじゃね?と気づいてしまいました。少なくとも、会務を通じて獲得した、その分野に関心がある弁護士の集合知を、仕事にフィードバックできる環境が整っていました。よし。諦めた。会務も頑張ろう。